10月5日から11月4日までの間、おきみゅーでおこなわれる
特別企画展「沖縄のハジチ、台湾原住民族のタトゥー 歴史と今」で
展示される予定の腕の2組です。
特別企画展「沖縄のハジチ、台湾原住民族のタトゥー 歴史と今」で
展示される予定の腕の2組です。
上の写真は、7月下旬に一番初めに山本芳美先生にチェックしていただいた
ペンでの下書きのものですが、
ペンでの下書きのものですが、
「もうちょっと一つ一つの文様のサイズが大きかったはず」ということで
以降何度も描き直すことになります^^
宮古地方のデザインは本島などとだいぶデザインが違います。
ひとりひとりがちがうデザインであったのに、
なぜ、この2組の腕が取り上げられたか。
そこには、胸を打つストーリーが存在するのです。
小原一夫著『南嶋入墨考』
(株式会社筑摩書房、 昭和37年)
の、75ページから記されています。
「沖縄各地のハジチのデザインを採集していた小原氏は
1931年8月9日、10日と滞在していた宮古島で、
暴風雨に襲われていた。
暴風雨に襲われていた。
多良間島・水納島に行く船が難破してしまって、
先に八重山へ行かなくてはならなくなった小原氏。
どうしても多良間のハジチを見ておきたかったため、
宮古に多良間出身の婦人で
いれずみをしている人がいないか尋ねたところ
いれずみをしている人がいないか尋ねたところ
30歳くらいの美しい婦人を紹介された。
小さい男の子を傍らに写生を終えたあと
彼女の姓名を尋ねたが、教えてもらえなかった。
彼女の姓名を尋ねたが、教えてもらえなかった。
その後八重山で2週間を過ごした小原氏。
8月28日の夜に多良間経由で宮古島に行く
小さな発動機船があることを知らされた。
多良間でハジチを採集したが、
なぜかあの女性のようなハジチと少しも似ていない。
なぜかあの女性のようなハジチと少しも似ていない。
聞くとそれは水納島のハジチであるという。
早速、昼過ぎに多良間を出て、15時半に水納に到着。
そこで61歳の老婆のハジチを写生し
宮古で出逢った女性のハジチと類似していることを確認した。
老婆はほかの島のハジチがどんなデザインであるか関心を持って聞くので、
小原氏はそれまでに採集した数十枚を老婆に見せた。
嬉しげに見る老婆。
が、突然その一枚をとり上げて泣き始める。
愛しい子供を抱くように
そのスケッチを胸に抱き、頬ずりをする老婆。
そのスケッチを胸に抱き、頬ずりをする老婆。
案内してくれた船頭によると
そのハジチは老婆の娘さんのものだという。
そのハジチは老婆の娘さんのものだという。
十年余りも前に、愛人と駆け落ちし島を出た娘さんは
生死不明の状態であったとのこと。
小原氏は、目の前に泣く老婆に
娘さんが元気そうだったことと、
男の子がいたことなどを話して慰めた。
子のいれずみを一見して直ちに
ほかの者のいれずみと見分けた老婆に
ほかの者のいれずみと見分けた老婆に
心打たれる小原氏。
夕方に多良間に戻る小原氏は、
老婆のくれた、さざえの一串をほおばり
老婆のくれた、さざえの一串をほおばり
遠くの両親のことを思い涙を流す。」
というエピソードがあるんです。
小原氏の文章はもっと詳細に書いてあるうえに
抒情的で美しいです~。
抒情的で美しいです~。
そんなわけで、
山本芳美先生から「こちらのお母さんと娘さんの腕をお願いします」
とのミッションをいただき、彫らせていただけるのはとても光栄でした♡
しかし61歳で老婆と書かれちゃうのかー
私もあと20年ちょっと生きたら老婆になるわけかー、
なんて話に全然関係ないわけだけど(笑)
いろいろと胸が熱くなるお話です(笑)
しかし61歳で老婆と書かれちゃうのかー
私もあと20年ちょっと生きたら老婆になるわけかー、
なんて話に全然関係ないわけだけど(笑)
いろいろと胸が熱くなるお話です(笑)
宮古のほうでは乙女らがお互いに彫りあったり、
じぶんで彫ったりしていたそうです。
ハジチャー(彫師)もいたことには、いたらしいですが…
そんなわけで、手彫り&自分彫り&にじみ感の雰囲気を
目指して彫るのがとても難しかったです(笑)
なぜなら
なぜなら
通常はお客様が自分で彫ってしまったものをカバーアップして
きれいにしているので、
あえて手彫り感を出すのは
私にとってはチャレンジでした(笑)
私にとってはチャレンジでした(笑)
ペンでの下書きですら難しくて、
山本先生が来沖されスタジオにいらしてくださった8月21日に
先生に描いていただいて、
先生の下書きの大胆な運筆に大変感銘を受け
なるほどこんな感じなのか!と納得♡
そして
それをもとに位置を少々変更しながら
早速、針を入れることに。
左はお母さんの左腕、右は娘さんの左腕。
お母さんの腕を先に彫ったのですが
きれいめ、線が細めになってしまい、
なんか違うかな~と思いながらも
先生にチェックしていただいたら
案の定!
「もう少し太く、にじみ感もでたらいいかもです。」
とのことでした。
そして、日を改めて
娘さんの腕をラインの太さや手彫り感を意識しながら彫りました。
娘さんの腕はデザインがとても面白くて、彫っていて楽しかったです♡
そして上の写真を再び山本先生にチェックしていただき、
「こんな感じだったと思います!」とOKをいただき、
お母さんのほうも直しました^^
彫りながら、
こちらの腕のお母さんと娘さん(スケッチ当時1931年)は、
2019年に
じぶんたちの腕のハジチが、
シリコンの腕に再現されるだなんて
想像もしていなかっただろうなぁ、なんて考えました(笑)
人生はミラクルの連続ですね^^
↑私の好きな箇所♡
娘さんの腕の内側です。
他の3組よりも難しかったです!!(笑)
彫ってるときは、↑こんな感じで、かなり青いのですが、
シリコン内に入ると濃くなりますね^^
というわけで、本日9月4日、
最終チェックをして、すべての腕が完成しました♡
楽しかった^^
めちゃくちゃ楽しかったです♡
そして
企画展ではどんな風に展示されるのか
今からすでに楽しみです♡
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